優秀な介護士に求められる8つの能力
優秀な介護士の能力は以下のようになります。
経営者目線ですので、この評価が総合的に高い人はダイレクトに昇進や昇給が早くなります。
①介護力(身体介護・生活援助の技術)
②介護知識(制度の理解・正しい報告書作成)
③接し方(利用者に対する接し方・態度・好かれる度合い)
④体調管理(シフトに穴を開けない・急に休まない等)
⑤コミュニケーション能力(職場の仲間と上手く付き合う力)
⑥書類作成力(計画書作成・加算などの書類作成・介護ソフトを使いこなす)
⑦教える力(人にわかりやすく教え、納得して理解してもらう力)
⑧経験(資格と実務年数と役職経験)
それぞれを最高50点満点で評価し最高400とします。
この数値に従来型であれば1.0、サ高住であれば1.3、施設であれば1.2かけた数値が介護士としての年収目安です。
すべての数値の合計点に、訪問介護であれば1.0を、サ高住であれば1.3を、施設であれば1.2をかけた数値(万円)が年収の目安となるように作りました。
例)合計点数280点の場合、
・従来型訪問介護事業所で働く場合・・・・280点✕1.0=280万円
・集合住宅型訪問介護事業所で働く場合・・280点✕1.3=364万円
・施設で働く場合・・・・・・・・・・・・280点✕1.2=336万円
合計点数と収入の目安表
200点 | 250点 | 300点 | 350点 | 400点 | |
従来型訪問介護 | 200万 | 250万 | 300万 | 350万 | 400万 |
サ高住など | 260万 | 325万 | 390万 | 455万 | 520万 |
施設 | 240万 | 300万 | 360万 | 420万 | 480万 |
①介護力
介護の基本的スキルです。
身体介護と生活援助のスキルの合計で判断。
丁寧さ・素早さ・あらゆるケアへの対応力等の数値です。
(上の項目は下の項目を網羅しているものとし、一番上の数値が点数です。身体介護と生活援助を足した合計値が最終的な点数です)
身体介護 | 点数 | 生活援助 | 点数 | |
人に教えるレベルで上手で早い | 35 | 人に教えるレベルで上手で早い | 15 | |
ケア手順を構築できる | 30 | 作業手順を構築できる | 12 | |
全てのケアを丁寧で素早く出来る | 25 | 調理や掃除が素早く丁寧に出来る | 9 | |
指示通りに実践出来る | 20 | 指示通りに実践できる | 6 | |
学び中・ゆっくりだが出来る | 15 | ゆっくりだが出来る | 3 |
②介護知識
介護の知識です。
身体介護と生活援助のスキルの合計で判断。
丁寧さ・素早さ・あらゆるケアへの対応力等の数値です。
(上の項目は下の項目を網羅しているものとし、一番上の数値が点数です。4つの項目を全て足した数値が最終的な点数です)
報告書類 | 基本的疾病 | 介護保険制度 | 加算関係 | |
人に教えるレベルで理解している | 25 | 10 | 10 | 5 |
手直しする必要がないレベルで実践 | 20 | 8 | 8 | 4 |
間違いを見抜ける程には理解できている | 15 | 6 | 6 | 3 |
基本のやり方の理解ができている | 10 | 4 | 4 | 2 |
学び中 | 5 | 2 | 2 | 0 |
介護の知識としていちばん重要なのは報告書類に関する知識です。書類に不備があると介護報酬の返還など事業所に大損害を与えることがあります。また、基本的疾病に対する知識と対処方法を理解し、実践に落とし込める能力があると、利用者の命や健康を守ることに繋がります。また、介護保険制度の理解が深い人は、今後の業界の未来を見据える等広い視点で業界を俯瞰することが出来たり、理解不足故に起こる事態を未然に防ぐことが出来ます。更に、加算に関する知識があれば、その事業所でやるべきことが見えてきます。『やるべきことをせず、やらなくて良いことに力を入れる』なんてことにならないよう、やるべきこと、やらなくて良いことを見抜ける人材は事業所や経営者にとって貴重な存在となります。
③接し方
利用者さんへの接し方・態度・言葉遣い・気に入られる度合いです。
利用者から好かれる介護士は、利用者の気持ちを明るくすることが出来、事業所の評判を上げるため、優秀な人材です。
(上の項目は下の項目を網羅しているものとし、一番上の数値が点数です。4つの項目を合計した数値が合計点数です)
点数 | 表情 | 態度 | 言葉遣い | 点数 | 好かれる | |
10 | いつもニコニコ笑顔で居る | いつも明るく楽しそうに接する | 楽しい会話が出来る | 20 | 利用者間で評判になるレベル | |
8 | 目があった瞬間笑顔を向ける | 優しく気持ちよく接する | 丁寧で相手を敬っている | 16 | 「あなたに来てほしい」とよく言われる | |
6 | いつも穏やかな表情 | いつもテキパキと接する | ハキハキとしている | 12 | 利用者が楽しそうに会話してくる | |
4 | 喜怒哀楽が顔に出る | 堂々と自信がある態度 | 友達感覚 | 8 | 基本的に利用者との会話を楽しめる | |
0 | 基本的に機嫌が悪い(仏頂面) | 面倒くさがる態度が出る | 指示命令口調 | 0 | 利用者から断られる事が2割以上 |
④体調管理
体調管理は、シフトに影響を与えるかどうかがポイントとなります。
ヘルパー自身は健康でも、急に子供の体調が悪くなって休む等もあるかと思います。困ったときはお互い様ではありますが、シフトの変更を余儀なくされると事業所としては代わりの職員を急いで確保する必要があり、代わりに働く介護士にとってしんどいのは間違いありません。また、急なシフト変更を要する介護士が多くなると、事業所は、待機する人を多めに確保する事となり、その人件費は全従業員の給与を少しづつ削って捻出する形となる為、従業員全体の給与が上がらない状態を作ってしまうのです。
逆に言うと、全員が毎週決められたシフト通りに出勤する事業所であれば、待機人員は最小限で済みます。急に仕事に入れられるストレスが無く、シフトの穴もどんどん埋めていくことが出来ますので、効率は上がり、給与も上がります。
経営者や仲間からみると『仕事を依頼した日時に必ず出勤してくれる介護士』が良い介護士なのです。
点数 | |
+20 | 1年間急に休んだことが無い |
+10 | 1年間急に休んだことが3回以内 |
30 | どんなシフトでも会社の都合に合わせられる |
20 | 毎週のシフトを固定化出来る |
10 | 1か月前に翌月の予定がわからない |
⑤コミュニケーション能力
コミュニケーション能力は、チームとして同僚としての能力です。
介護は同僚や様々な事業所、様々な関係者と協力して行うものです。
職場の雰囲気を良くするか悪くするかはそれぞれの介護士が作り出す雰囲気(空気)です。
また、上司となる人間は基本的にその職場の空気を支配するため、コミュニケーション能力の低い人や、常に不機嫌で怒っているような人に役職を与えてしまうと、その会社の空気は明らかに悪化します。雰囲気の悪い事業所は離職率が上がるため、コミュニケーション能力はとても重要な指数となります。
以下の評価は客観的な視点です。
点数 | |
50 | 他業種の人だろうと誰とでも仲良く楽しそうに接している |
40 | その人が居ると明らかに職場の雰囲気が良くなる |
30 | いつも楽しい会話をしている |
20 | いつも先に笑顔で人と接する |
10 | 怒哀の感情を表に出さない |
0 | ・その人が居るだけで職場の雰囲気が悪化する ・その人が話し始めただけで嫌な緊張感が走る ・人の良いところを褒めず、あら捜しばかりして非難する。 |
⑥書類作成能力
介護事業では、書類作成能力が求められます。全ての必要な書類を揃え、適切に取り扱わなければならないからです。
書類作成能力は『相手がどのような書類を求め、どのような内容で書けば相手に正しく伝わるのか?』を理解しているかどうかと、それを実際に作れるかどうか・提出できるかどうかです。それ以外に介護ソフトを使いこなす能力などです。
計画書作成 | 報告書作成 | 介護ソフト活用 | 加算や変更届作成 | |
人に教えられるくらい | 10 | 10 | 20 | 10 |
1年任せてもOK | 8 | 8 | 16 | 8 |
チェックできる程度には理解 | 6 | 6 | 12 | 6 |
チェックしてもらえればOK | 4 | 4 | 8 | 4 |
よくわからない | 0 | 0 | 0 | 0 |
⑦教える力
全ての会社に共通の課題は『人を育てる』ということ。
人を教える能力が高い人というのは、知識に自分の経験を織り交ぜ、わかりやすく説明する事ができる人です。また、人が人の話を聞くのは『相手が自分より優れていると認識している時だけ』だったりするので、自分よりレベルの高い人間に教育を施すことは基本的には出来ません。そのため、何らかの面で「この人は私よりも優れているから話を聞く価値がある」と思って貰う必要があります。基本的には会社内での教育ですので、普段から尊敬されたり一目置かれるような言動が求められます。
点数 | |
+10 | よりよい未来を提示し、ロードマップを示すことができる |
+10 | 相手の良いところを認め、褒めることが出来ている |
+10 | 注意を受けた相手が嫌な気持ちにならない話し方や態度ができる |
+10 | 普段から手本となるような行動ができている |
+10 | 相手が自分の間違いに気づき、改善したいと思うよう導く |
-10 | 相手を論破することでマウントを取ろうとする教え方 |
-10 | 常識を無視した独自ルールを教えようとする |
-10 | 相手の悪いところを見抜き、冷たく指摘する。改善策を出さない |
-10 | 高圧的な態度、見下した態度で接する |
⑧経験や年数
介護事業においては、国は『10年以上の経験のある介護福祉士』を優遇しようとするなど、経験や資格を重視しています。
特定事業所加算や処遇改善加算の算定要件にも関わってくるため、無視できません。
ただ、経験と言うのは役職経験の有無なども大きな要因となります。管理者をしたことのある人とない人、サ責になったことのある人と無い人では、いざ雇った後に教育する内容や量が変わってしまうので、経営者としては役職経験の有無も重要な指数になります。
資格 | 介護福祉士(10点)or実務者研修(5点) + 介護支援専門員(10点) |
経験年数10年以上 | 5点 |
サービス提供責任者 | 10点 |
管理者 | 10点 |
まとめ
介護士として求められる能力は多岐にわたりますが、この能力一つ一つが同じくらい大切な要素です。
時間もお金もかかる『資格や経験』と同じくらい『接し方』や『体調管理』『コミュニケーション能力』は大切なのです。
そして、利用者への接し方やコミュニケーション能力は意識することで数ヶ月で上げることが出来る項目でもあります。
ご自分の介護士としての価値を簡単に計測してみてください。また、身近な介護士を客観的に査定してみるのも面白いですよ。
ただ、この数値はご自身の介護士としての価値を数値化するものであり、年収を保証したりするものではありません。ですが、自分の市場価値を知ることや、足りない部分を可視化することで、何を学び・どこを伸ばせば給与をアップできるのかが見えてきます。自分の方向性を決めるきっかけにはなると思います。